レンタル着物でも役立つ着物マナーについて

着物は所作を身につけることでよりきれいに見せることができます。普段、着物を着ることはないという方でも、レンタル着物を利用する前は、マナーを少しでも身につけておくと、何も知らずに着物を着るよりも美しく見せられますよ。

着物を着る前に覚えておきたい「心がけ」

浅草 着物レンタル

着物を着るときには、ぜひ心がけて欲しいことがあります。レンタル着物は、ほかのお客様も着用するものなので、皆様が気持ちよく着られるように必ず覚えてください。

ハンカチを用意

レンタル着物を利用する際は、ハンカチを必ず用意しましょう。大判のものを数枚用意しておくと、トイレに行くときや食事のときに役立ちます。休憩する際も、イスやベンチがほこりっぽくなっていることがあるので、ハンカチを敷いてから座ると着物が汚れません。

洗濯ばさみを用意

着物を着て街歩きをする際は、洗濯ばさみがあるととても便利です。特にトイレでは、裾や袖が邪魔になりやすいので、洗濯ばさみでこれらを留めるととても楽です。洗濯ばさみは必ず何個か用意しておきましょう。

手を洗う

着物を着る際は、手垢で着物を汚してしまわないよう、小まめに手を洗いましょう。携帯用のウェットティッシュを用意しておくとよいですね。

タバコはNG

洋服、着物問わず、タバコのニオイは生地についてしまいます。愛煙家の方は、着物を着ているときだけはがまんしてください。着慣れないレンタル着物ならなおさらです。タバコの火で着物をこがしてしまったら大変です。

メイクやヘアメイクは着付け前に

レンタル着物の場合、メイクやヘアメイクのサービスを選択できる場合もありますが、これらを自分でやる場合は、着付け前に必ず済ませます。口紅は着物についてしまう可能性があるので着付け後でも構いません。

ストッキングや足袋は最初にはく

ストッキングや足袋は最初にはきます。

アクセサリーはシンプルなものが合う

着物には、派手なデザインのアクセサリーよりも、シンプルなもののほうが合います。宝石があしらわれたものや、複雑なデザインが用いられたアクセサリーは、着物を傷つけてしまう可能性があるので、できれば避けたほうがよいでしょう。

着物を着てからの所作やマナーについて

浅草 着物レンタル

いよいよ着付けが終わり、外出する際の所作やマナーについてご紹介します。レンタル着物を着て街を散策するのはとても楽しいことですが、やはり慣れていないとそれなりの苦労はあります。しかし、所作を覚えておけば、すぐに着物歩きのコツがわかりますよ。

歩き方

着物を着て歩く際は、背筋をしっかりと伸ばし、やや内股にして1本の線上を小さな歩幅で進みます。重心をつま先側にかけるのがポイントです。あまり着物を着たことがないという方は、草履の鼻緒に少し余裕を持たせるとリラックスして歩けるようになります。裾がきつくて歩きづらいと感じる場合は、両足を肩幅程度まで開き、ひざを深く曲げると裾が絡みにくくなります。着付け後、すぐにやっておくことをおすすめします。

正座をする

着物を着て正座をすると、上前がはだけやすくなるので、座る前に腰のあたりで引っ張って調整しておきましょう。上前は、着物の身ごろの上側(左の身ごろ)のことを指します。正座してから調整する場合は、ひざを少し浮かせながら直すとよいでしょう。正座の姿勢から立ち上がるときは、上前や裾を踏んでしまわないよう注意しましょう。

ひざを崩すときは

フォーマルな場所でない限り、長い時間正座する必要はありません。ただ、エチケットとして、ひざを崩すときはひと言、おことわりの言葉を入れましょう。「ひざを崩させてください」程度でも十分です。横座りするにしても、背筋をしっかり意識して座りましょう。それだけでも印象がまったく異なります。

手を挙げる

着物を着ていつものように手を挙げてしまうと、着物の構造上、袖がだらりとなり腕が露出してしまいます。そのため、もし手を挙げる必要がある場合は、袖口をさりげなく押さえつつ手を挙げるとだらしなく見えません。

草履の脱ぎ方

着物で観光する場合でも、草履を脱いで玄関からお邪魔するスポットはあります。そのため、草履の正しい脱ぎ方を覚えておきましょう。玄関から上がる際は、まず前向きに、両足をしっかりそろえて脱いで上がります。その後、ひざをついて座ったら、草履を逆向きに直します。草履は玄関の真ん中には置かず、少し寄せて置くのがポイントです。

イスに座る

着物に慣れていない方は、イスに座る際に少し気をつけましょう。特に振袖は袖が長いため、気にせず座ってしまうと袖が床に触れてしまいます。高価な着物を汚してしまっては大変なので、左右の袖をしっかり持ってから座り、その後、ひざの上に袖を置きましょう。着物を着ている際は、座り方にも気をつける必要があります。背もたれにまでもたれるように座ってしまうと、せっかくの帯の結びが崩れてしまいます。背もたれに当たらないよう、若干、浅めに座るとよいでしょう。

階段

着物を着て階段を上り下りする場合は、 たもとや裾に気をつける必要があります。あまり着物に慣れていない方だと、これらを知らずに引きずるなどして汚しがちです。左手で左右の袖を重ねて保持し、右手で上前を軽く持って歩くときれいに見えます。上前を上げすぎると脚が露出してしまうので、持ち上げ加減が重要です。

車に乗る、車から降りる

着物レンタルを利用して観光する場合は、車の乗り降りをすることもあるでしょう。車に乗る際は、基本的に「腰(おしり)→頭→足」の順番で座ることを覚えておきましょう。荷物がある場合は、最初にそれだけ入れます。左右の袖をそろえてどちらかの手で持ち、上前を引きながら腰かけます。セットした髪がルーフなどに当たらないよう、気をつけて頭を車内に入れましょう。その後、体をひねるようにして足を車内に入れます。あとはイスに座るときと同じ感じで姿勢をキープしましょう。
車から降りる際は、乗り込むときと逆の順番になります。慣れない方が車に乗ると、やや乱れてしまうことがあるので、車から出たらしっかり確認します。

電車に乗るときの注意点

着物レンタルを利用する場合は、電車で移動することも多くなると思います。座る際に気をつけることは、イスと同様です。立って乗る場合は、つり革を持たなければなりませんが、このときは手を挙げるときと同様、袖口を押さえて腕が露出しないように気をつけます。

着物でトイレ

どうしてもトイレに行かなければならないことはあります。もちろん、何度も何度もトイレに行く必要がないように、事前にトイレに行っておくことは重要です。ただ、しっかり準備しておけば、特に心配することはありません。
まず、トイレ(個室)に入ったら、用意しておいたハンカチを取り出します。続いてハンカチを襟元に差し込むか、あごにはさんでお化粧が半襟につくことを防ぎます。どうしても、着物をたぐり上げる際に下を向かなければならないので、何もしないと化粧がついてしまうのです。
その後、袖をまとめたら、用意しておいた洗濯ばさみを使って帯に留めます。着物と前裾を左右に分けてそれぞれの手で持ちます。このとき、右側は着物と肌着、両方の裾をいっしょに持ち、帯の高さ程度までまくり上げたら両方の腕を使って固定します。整え戻すときは逆の順番で元通りにします。最後に後ろ姿も含めて、きれいに元に戻っているか確認しましょう。



まとめ

レンタル着物を利用するときに役立つ着物マナーについてご紹介しました。浅草や京都を中心に着物観光は人気ですが、所作やマナーをちょっと勉強しておくだけで、写真の中でもっと映える自分になれますよ。